最新術後ケア情報

術後の内服薬と消毒の仕方について



抗生物質について

目白ポセンシアクリニックでは、術後にお出ししている薬として、
痛みを止め、炎症を抑える薬と腫れを抑える薬、
そしてお飲みになられたお薬が胃を荒らさないように胃薬をお出しするのを基本にしています。
さらに目頭切開法などをお受けになられる場合は、傷の治りを良くする薬を
オプションとして、ご購入されるようお勧めしております。

「抗生剤を出さないのですか?」と患者様から聞かれることがあるのですが、
抗生剤は本来、感染した場合に傷の部分にいる細菌を判別して、
その細菌にあった抗生剤を使うのが正しいのです。
抗生剤をむやみに使い続けると、抗生剤を分解したり無毒化してしまう因子を
獲得した細菌(耐性菌)を生み出すことがあります。
これは現実に、抗生物質を多用する医療現場を中心に、
多くの抗生物質に耐性を示す多剤耐性菌、とりわけメチシリンが効かない
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による院内感染が問題となっています。

日本では、病気になる前から予防的に抗生剤を使ったり、
何の細菌か分からないままむやみに広域に作用する抗生剤を使ったりすることが多く、
これが感染の予防に手術後は抗生剤を飲むという誤解を一般の方々に
持たせてしまうことになりましたが、以上の理由から、まったく間違えた薬の使い方なのです。

そのため、目白ポセンシアクリニックでは、抗生剤をお出ししておりません。

しかし、どうしても抗生剤を飲まないと気分的に落ち着かないという方がいらっしゃいますので、
どうしても抗生剤が飲みたいとおっしゃられる方に対しては、
通常の日本の医療機関で出されている、いろいろな菌に対して効果がある抗生物質を
お出ししております。

術後の消毒法について
消化器外科など、一般的な外科においては、殺菌能力の強い消毒液を使って
術野を消毒してから手術をしたり、術後の創部(傷跡)も、殺菌能力の強い消毒液を使われています。
しかし、形成外科的な立場からは、殺菌能力の強い消毒液は正常な人体細胞も傷つけ、
逆に良い結果につながらないと考えられています。

一般的には、傷口からばい菌が入って化膿すると考えられていると思いますが、
皮膚にいる常在菌が単独で創感染を起こすには、大量の細菌数が必要なのです。
特に美容整形の手術を受けに来られるような健康な方の場合、
少々の細菌が創部から侵入しても、体内にある身体を守ってくれている
貪食細胞の働きによって攻撃され、創感染を起こすのに必要な数に増えることはできないのです。

それではどうして傷口から感染を起こすかと言えば、傷口や組織内に異物や壊死組織がある場合です。
これら感染源があると、きわめて少量の皮膚常在菌でも感染症状が発現するのです。
感染源として多いのは、縫合糸(特に絹糸)、血腫、動物性異物、植物性異物、かさぶた、
人工物などがあります。
美容整形の手術では、絹糸(絹の糸)を使うことはほとんどありません。
ナイロン糸なので感染しにくいです。
問題は、血腫やかさぶたです。

血腫とは、傷の中にできる血のかたまりです。
目白ポセンシアクリニックでは、血腫ができないように止血をしっかりと行います。
手術中にジュ、ジュという音や焦げ臭い匂いがしてこれは何ですかと
患者様から聞かれることが時々ありますが、創部に電気を流して焼いて出血を止めているのです。
また、手術中に圧迫したり、術後にも冷たくて重い冷却材を患部に当てていただいたり、
包帯をしっかりと巻いたりしていますが、圧迫することによって血腫ができるのを防いでいるのです。

そして、かさぶたですが、これは出血をしっかりとふき取っていただくことが重要になります。
先ほども書いたように出血を手術中にできる限り止めるようにしていますが、完全に止めることは不可能です。
どうしても傷口から血が出てきます。これをそのままにしておくと、かさぶたになります。
かさぶたの問題点は、せっかくきれいに縫ってある傷口を開いてしまうことがあるのです。

傷の治りを良くするには、傷の部分をなるべく湿らせて湿度を高くしておく方が良いと
形成外科的には言われています。
しかし、きちんと縫合閉鎖が行われていたら、それだけで十分なのです。

これには、私自身にも体験があります。
開院して2年目くらいのことだったと思いますが、
それまではただ傷口は縫合するということくらいしか分かっていませんでした。
二重まぶたの切開法をした患者様が心配性の人で、
術後の経過を診てほしいとおっしゃって術後2日目に検診に来られたのです。
私たちは普段、術後2日目の状態を診ることはありません。
驚いたのは、まだ術後2日目であったのに、傷がぴったりとくっついていたのです。
それまで私は抜糸が5日目にすると習っていたのでそれを信じていましたし、
術後5日目くらいで傷がくっつくと漫然と思っていました。
しかし、術後2日目で傷がくっついていたのです。
人間の自然治癒力のすごさに驚かされると同時に、きちんと縫合さえすれば
傷は2日目にはくっつくのだから、きれいに縫合しないといけないと、
それまで以上に意識して丁寧に縫合するようになりました。
そうすると、抜糸の時点できれいに傷が治っている人がさらに増えてきました。
また、術後4日目で抜糸するようになりましたし、
どうしても3日目に抜糸をしたいとうい方にも対応するようになりました。
傷に対しての理解が深まり、技術的にも向上することができました。
この患者様のおかげで素晴らしい体験ができ、
現在の傷が早くきれいに治るという当院の評判を作ってくれる原因となったのでした。

美容外科医であれば、創部をきれいに合わせることに命をかけるべきだと思います。
これはかなり大変なことです。
まず、創部をまっすぐに切ることが難しいのです。
人間の身体は曲がっています。そして、皮膚は柔らかく、伸展性があります。
術者はまっすぐに切ってるつもりでも、後からみれば線がガタガタということは、
未熟な術者であればよくあることなのです。
(これはある程度年数を経験されている医師がされた手術でも、
傷跡を見れば、きれいに合ってないのを見受けることがあります)
傷をまっすぐに切らなければ傷はピタッとはつかず、どこかに隙間ができます。
まっすぐに切るだけでも、長年のトレーニングが必要なのです。
そして、丁寧な縫合も大切です。
ピタッと傷さえ合わせることができれば、傷は24時間〜48時間以内にくっついてしまうのです。

目白ポセンシアで手術をお受けになられた大勢の患者様の中で、
傷の治りが早い方と遅い方がどうしてもいらっしゃいます。
そのひとつの原因が消毒の仕方なのです。

抜糸の時にかさぶたをいっぱいつけて来られる方がいらっしゃいます。
このような方は相対的に傷の治りが遅くなっていらっしゃいます。
話を聞くと、傷に触れるのが怖くてあまり消毒ができなかったとおっしゃる方が多いようです。
また、消毒を傷口をぬらすという感覚でされる方は、かさぶたができてしまう場合が多いようです。
かさぶたを作らないように出血をしっかりとふき取るという感覚で消毒をされた方が良いと思います。
(当院でも一般的に使われているのでそれに従って消毒と言う言葉で表現していますが、
消毒という言葉自体が不適切だと思います)
また、できてしまったかさぶたは取り除いた方が良いのです。
かさぶたは感染源になるばかりではなく、創部の間にできると傷口を開いてしまいます。
これは傷が遅く治ったり、きれいに治らない原因となります。
せっかくきれいに縫合しているのに、傷口をかさぶたが開いてしまうのです。
かさぶたができた場合は、優しく取り除いて下さい。
初期の段階であれば、綿棒などで弱い力で力を加えれば取れます。
それで取れない場合は、かさぶたのまわりを何度も濡らします。
お渡しした消毒液でも結構ですし、水道の水でも結構ですので
綿棒を湿らせてかさぶたと皮膚の間を湿らせていると、
かさぶたは水溶性で水に溶けて段々と弱くなり、そのうち弱い力でもはずれるようになります。


(消毒液でなくても通常の上水道の水で良い理由ですが、
・上水道中に細菌はほどんど含まれていない。
・水道水に大腸菌を混入させた実験で、大腸菌は時間とともに減少し、増加することはない、
 つまり、水道水中で細菌が増殖することはないと考えられる。
・細菌が検出されたとしても、それが創感染を起こす起炎菌であることはない。
以上の理由から、「水道水には雑菌が含まれるため、それで洗浄すると感染が起こる」ことは、
通常の水道水では考えられないということになります。

どうしてもかさぶたがはずれない場合は、当院までお越し下さい。
有料になってしまいますが、血液を溶かせる薬を用いてかさぶたを取り除きます。
また、目頭切開法やフェイスリフトなどで、傷をできる限りきれいに治したいという方が
術後のケアで来院されることもございます。
これらも有料になりますが、対応させていただいております。


(参考文献:これからの創傷治療 医学書院)


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