二重切開法の術後の傷跡管理について
ニューヨークから全切開法の手術を受けに患者様がいらっしゃいました。
1週間の滞在期間しかありませんので、プレミアムコースでお願いしますと申し込まれました。
プレミアムコースで手術をお受けいただけると、腫れが最小限で済むので、切開法で手術を受けられる方はプレミアムコースで申し込むようにお勧めしていますが、この患者様は自分の方からプレミアムコースで申し込まれました。
手術は腫れが少なく終わりました。近くのホテルから毎日、腫れを早く引かせる点滴を受けに通院されました。
術後4日目の抜糸時には内出血も消え、腫れもほとんどなく、喜んでおられました。
抜糸をする時に左上部にわずかに傷の開きがありました。
術後の傷の管理は患者様にお任せするしかありませんが、少し管理が悪かったようです。
かさぶたもありました。かさぶたはなるべく取っておいた方が傷のためには良いのですが、抜糸時、かさぶたをたくさんつけてご来院される患者様はよくいらっしゃいます。
無理にかさぶたをはがすと出血したり、傷が開いたりするので、そのまま置いておきました。そして、シャワーの水で良いのでしっかりと洗浄していただくよう伝え、お帰りになられました。
抜糸時、当院のメディカルコンシェルジュからメールを差し上げました。
全員の方にはやりきれていませんが、プレミアムコースで手術をお受けいただいた患者様には業務の時間に余裕があれば、メディカルコンシェルジュの方からメールを差し上げています。
その日の夕方に有難うございます、様子を見てみますというお返事をいただきました。
ところが翌日の朝、左側から白い分泌物が出て赤みが増したので、明日、ニューヨークに帰るまでに診て欲しいとメールが来ました。
急いで、すぐにご来院いただけるようにお返事をしましたが、夕方4時なら来れるとのことでした。
夕方拝見すると、確かに抜糸時より状態が悪くなっています。
血液の塊が細かく粉のようになって傷口にあり、これが感染の原因となったようです。
おそらくはかさぶたを取って出血が起こり、その出血を栄養源として菌が繁殖したのだと思います。
これもしっかりと洗浄していただければ、そうはならなかったはずですが、患者様も医療従事者ではないので、傷の管理をうまくできる人とできない人がいます。
オペ室のベッドに寝てもらって、生理食塩水できれいに洗浄していきます。
結局ご自身でやっていただくことも私がやることも同じなのですが、私がやれば正確にやれるというだけの違いです。
ご来院前は菌の繁殖がひどく、あれくらい多いと治るのが大変ですが、私がきれいにしたので、後はしっかりと洗浄を続けていただければ短期間で治るはずです。
1時間から2時間おきに洗浄を行うようにお願いし、念のため、明日の朝、もう一度検診にご来院するようにお願いしました。
次の朝拝見すると、傷はきれいになっていました。
後は油断なく洗浄を続けていただければ治っていくはずです。
本当は、検診を夕方でなく昼に来ていただければ、その日の夕方にもう一度検診をして、さらに次の日の朝検診ができればもっと完璧な治療ができたのですが、患者様のスケジュールもあるので仕方ありません。
特に今回は、患者様が問診票にお書きになっていた電話番号がアメリカのもので、どう連絡をつけて良いか分からなかったので余計連絡で手間取りました。
本当に問題がありそうなケースや遠方からお越しの患者様には当院からお電話を差し上げ、状況を聞いたりお話しさせていただくことがございますので、連絡のつく電話番号を記載していただけますようお願いします。
患者様によって、傷の管理が上手な人と下手な人がいらっしゃいますが、それは仕方ありません。
傷の管理が上手にできなかった場合、今回のようにマイナートラブルが発生することがありますが、このようにできる限りの対応をいたしますので、とにかく早くご連絡いただき、指示に従っていただきますようお願いいたします。