美容整形におけるカウンセリングの極意
美容外科の先生方は手術に興味はあっても、カウンセリングに興味を持つ先生はほとんどいらっしゃいません。
私はカウンセリングにはとても興味があります。
というより、医学生の時代からカウンセリングに興味があり、学生時代はアメリカの精神科医をイメージして、ストレスの多い現代人を対話を通して楽になっていただく医師になりたいというのが、ひとつの自分の未来像でした。
学生実習で実際に精神科にいくと、そこには会話ができない患者様がたくさんいらっしゃいました。
こちらの言うことを理解しないし、患者様の言うことが理解できず、投薬をし、監禁状態にする治療を見て、精神科医になる夢は諦めました。
精神科医は諦めたものの、カウンセリングに対する夢は諦めきれずに、勉強を続けました。
特にカウンセリング技術があるレベルまで行くと、自分で自分をカウンセリングして楽になれるので、楽しく学び続けられました。
そうやってかれこれもう30年くらいはカウンセリングを勉強していますが、最近私が大切にしていることが、患者様の脳内イメージをしっかりと感じ取ろうとすることです。
美容医療で大切なのは、診断とどの手術が適応なのか患者様に説明し、どの方法にするのか患者様に選択していただくことです。
そのため、患者様には間違いのない選択をしていただけるように、それぞれの方法のメリットとデメリットをしっかりと理解していただく必要があります。
どう説明したら理解していただけるか、ずっと説明の方法を工夫し続けていたのですが、患者様の脳内イメージという概念を考えた時、説明すること自体が患者様の脳内イメージとかけ離れている場合があることに気づきました。
つまり、患者様によっては、小難しい説明なんてどうでも良いから私をきれいにして、結果さえ良ければ良いと安楽に考える方がいらっしゃるのです。
そんな患者様にいくら説明しても理解しようとしてくれないし、自分で決められないので先生が決めて下さいと言ってきます。
そう言っておいて、自分の納得する結果にならなかったら、文句を言ってきます。
カウンセリングで説明はどうでも良いから私を納得させてとか、買う気にさせて、という患者様も少なくありません。
そんな無責任な態度は困りますというのが、これまでの私の言い分だったのですが、患者様の脳内イメージから考えると、そういった患者様に適切な対応が何かあるのではないかと模索しています。
それと同時に、説明をいい加減にする売上至上主義の美容クリニックにどうしてたくさんの患者様が集まるのかも理解できました。
正しい医療を行っていなくても、患者様の脳内イメージに合った対応をしているのです。
ただし、その方法では、手術を受けてくれてもあとから大きなトラブルに発展しやすくなります。
私は医師としてのプライドを捨てるつもりはないので、いい加減な説明で集客をするつもりは一切ありませんが、もう少し患者様の脳内イメージに沿った診療ができるようになりたいと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。
長野からお越しいただいた患者様からいただきました。
有難うございます。