ちょっと感動した話
- ちょっと感動した話をご紹介します
- 三連休の最終日のことでした。
忙しかった初日、2日目は夜遅くまで業務がありましたが、さすがに最終日は19時までにすべての受付が終了しました。閉院時間の19時を少し過ぎた頃、ひとりの男性から、電話がかかってきました。
「もしもし、自分じゃないんですけど、他院で埋没法を受けたらすごく腫れてしまったんです。
明日から仕事が始まるんですけど、行けそうにありません。一度、診てもらえますか?」
「本日の受付は終了してしまい、明日は休診日なのですが」
「どうしたらいいんでしょうか?」
「では、待っていますから、今からすぐ来れますか?」
「分かりました。すぐ伺います。車で行くので、30分くらいで行けると思います」20時を回った頃、若い男性と女性がご来院されました。
受付を済ませ、診察室に案内します。
女性にかけているサングラスをはずすようにお願いしました。
サングラスをとると、まぶたは無残にひどく腫れ、目の周りじゅうが内出血で紫色になっていました。
「腫れないって言われて連休前に手術を受けたんですけど、これじゃあ、明日から仕事に行けません。
心配になって今、手術を受けた病院に行ってきたんですけど、1,2週間くらいで良くなるから、それまで待つように言われたんです。
抜糸をしてくれるよう頼んだんですけど、いつ抜糸しても一緒だから、しばらくそのまま置いておくようにと言われました。
このまま、様子を見るしかないんでしょうか?」
「今まで、同じクリニックで同じ手術を受けた方で1ヶ月以上腫れていた方が来られたこともあります。
もちろん、そのまま放置して腫れがひくのを待つのも、ひとつの選択肢です。
ただし、本当に1,2週間くらいで腫れが治まるのか、1ヶ月以上腫れが治まるのにかかるのかは、何とも言えません。
腫れがひどいのは、今入っている糸が原因ですので抜糸をした場合は、そのまま様子を見るより腫れは早く治ります」女性の患者様は、かなり精神が不安定になられていました。
「前回の手術で、手術中もすごく嫌な思いをしたんです。
もうこれ以上、手術で嫌な思いをするのは嫌なんです」
その女性は、抜糸の手術をすぐにでも受けて楽になりたい、でも前回嫌な思いをしたのでもう手術は受けたくないという、ジレンマに陥ってしまわれていたのでした。手術を受けたのは、比較的大手の高級志向のクリニックでした。
「手術をされたのは、どの先生ですか?」
「○○先生です」
そこの院のHPを見ると、まだ入りたての医師として紹介されていました。
大手では、常に新しい医師が入るので、どうしても初期の段階でその医師の担当になる患者様は、不必要な不利益をこうむることがあります。患者様は、抜糸の手術を受けようかどうか、ひどく迷われていました。
ポセンシアクリニックでは、患者様にとって最善の方法はお伝えいたしますが、最終的な選択は、患者様サイドに任せています。「抜糸の手術を受けないで、このまま様子を見ることも出来ます。
その場合は、腫れが1,2週間で治まるのか、1ヶ月以上かかるのかは分かりません。
また、腫れが治まった時点で、ご納得される二重の形になっているのか、やはり不自然なままなのかも、何とも言えません。
しばらく様子を見てから抜糸を行うことも出来ますが、時間が経てば経つほど、手術痕跡が分かりにくくなる為、抜糸は難しくなります。
今ならまだ小さな穴をあけるだけで抜糸出来そうですが、時間が経つほど、切開しなくてはいけない可能性が高くなってきます。
現在、糸が強く結ばれていて、そのせいで腫れが強くてなかなか引かないようですので、今、抜糸をした方が腫れは早く引きます。
ただし、抜糸を行えば、前回の手術で払った費用と手術をした事が、全く無駄になってしまいます。それがデメリットです」
と、正直に現状をお伝えしました。患者様は、前回うまくいかなかったため、ご自身の選択する能力にも疑心暗鬼になっています。
「今すぐ決めないで、家でじっくり考えた方が良いのでは・・・」
などと、付き添いの男性に言っています。
男性は、
「待っていても、現状は変わらない。
とりあえず、抜糸をしてもらって楽になろう。それから後のことを考えよう」
と、女性にアドバイスされていました。
女性は、涙を流しながら、男性に同意しました。院長は、男性に、
「前回の手術中、不安だったとおっしゃられているので、出来たら、今回、手術に付き添ってあげて下さい。
その方が、患者様も安心されると思いますので」
と、お願いし、男性も、「そうします」と、同意されました。支払いは、男性がご自身のキャッシュカード(デビットカード)で決済されました。
いよいよ手術が始まります。
男性は、ベッドに横たわっている女性の横に付き添い、女性の手をしっかりと握りしめています。
前回の埋没法が特殊な複雑な方法で行われていたので、手術は1時間近くかかり難航しましたが、何とか終了しました。手術終了後は、リカバリールームでしばらく患部を冷やしました。
抜糸後すぐに症状が改善されたこともあり、おふたりとも、ホッとされ、笑顔でニコニコされながら帰って行かれました。
患者様が見せてくれる笑顔が、美容外科をやっていて感じる醍醐味のひとつです。患者様が帰られた後、夜11時近くになり、ボーっとしながら、考えました。
前回の彼女の手術はうまくいかず、大変な思いをされ、精神的にも、肉体的にも、金銭的にも大きな打撃を受けたのは事実です。
しかし、このような残念な出来事の中で、付き合っている男性が、心配して一日中付き添ってくれ、手術を受けたクリニックへ一緒に行ってくれ、その後、検診で納得できなかったからとそのクリニックの近くのインターネットカフェで困惑する彼女の為を思い、あきらめずに一生懸命クリニックを調べてくれ、沢山の美容外科情報の中から『ポセンシア』を見つけ、電話をかけ、そしてこちらまで車で送って一緒に話を聞き、支払いをし、彼女の手を握り締めながら、手術中もずっと一緒に付き添ってくれ、家まで送ってくれた。
そんな良い男性はなかなかいないのではないでしょうか?
そして、こんなにも大切に扱われ、愛されている女性は、幸せな気がいたしました。患者様の心労には、深く同情いたします。
しかし、今回の事件で、“付き合っている男性の素晴らしい人格と愛”を確かめることが出来たのなら、今回の出来事は、とてもつらかった事も多かった反面、良いこともあったと言える気がいたします。人生、これからも大変なことは起こるでしょう。
しかし、それを一緒に乗り越えてくれる人がいることが分かったなら、それは何よりの喜びとなるのではないでしょうか?夜遅くまで業務が続きましたが、その男性の恋人への献身を思い返すと、何か胸に暖かいものを感じ、とても幸せな気分になることが出来ました。
お二人のさらなる幸せを願わずにはいられない・・・。
そんな出来事でした。